立山黒部アルペンルート

標高2,450mへ大移動!

のりもの大図鑑

アルペンルートの旅では、普段乗ることのできない
珍しい乗り物をどんどん乗り継いでいきます。
ケーブルカーや高原バス、ロープウェイやトロリーバスなど、
高所ならではの工夫がされたユニークな乗り物達を一挙紹介します!

立山ケーブルカー

立山駅→美女平

立山駅と美女平間1.3km、標高差およそ500mを7分かけて一気にのぼり、低山帯の森林から山地帯の森林への変化がダイナミックに車窓に展開します。平均勾配24度の坂を2台のケーブルカーがつるべ式で上り下りする仕組みになっています。途中、岩が柱のようになっている材木石(柱状節理)が見られる箇所があります。

区間(標高)立山駅(475m)~美女平(977m)
駅間標高差502m
移動距離1.3Km
所要時間7分
定員120名
運行開始昭和29年8月13日

History Photos

開業当初の立山ケーブルカー。下の方に見えるのは、立山駅の旧駅舎です。

すれ違いの仕組み

ケーブルカーの車輪は左右で異なる形状をしており、片側車輪のみにフランジがあります。フランジ付きの車輪はレールを挟んでいるため、常に片側へ進路を取ります。行き交う車両はフランジ付きの車輪の位置が逆になっているので、すれ違いが可能になっています。

珍しい荷台付きケーブルカー

立山ケーブルカーは、かつて黒部ダム建設用の資材を積んでいたことから、ケーブルカーでは珍しい荷台付き!今でも、大きい荷物はここに積むことができるよ。
車掌室は車両の上下2か所にあり、上り時と下り時で使い分けているんだ。下り時は、荷台の先に特設された車掌室を使います。

つるべ式ケーブルカーの仕組み

ワイヤーロープの両端に車両をつなぎ、山上の側の駅にある巻上機械により、車両を上げ下げさせる方式です。
美女平駅側にある
ケーブルカーの巻き上げ機械。

立山高原バス

美女平→弥陀ヶ原→室堂

亜高山帯から高山帯へ、約1,500mの標高差の大自然の変化を楽しむことができます。全員着席制なので、快適に車窓の風景を楽しむことができます。車内に設置されたモニターからは、見どころの解説ビデオが流れます。ハイブリッドバスや最新のクリーンディーゼルバスで、排気ガス中のNOx、COや黒煙の排出を抑えています。

区間(標高)美女平(977m)~室堂(2,450m)
駅間標高差1,473m
移動距離23Km
所要時間50分
運行開始昭和30年7月1日美女平~弘法間
(昭和39年6月20日 美女平~室堂間全線開業)

降車ボタン

降車ボタン

高原バスは途中下車することもできるよ。弥陀ヶ原散策をする時は、乗車前にその事を伝え、降車駅が近づいたら降車ボタンで知らせよう!

運転席

運転席

高原バス運転席。縁取りのカーブが印象的で、メーター類は見やすく配置。トラスミッションは、6速MT(マニュアルトランスミッション)だ。

History Photos

高原バスの車両は、立山ケーブルカーによって運び入れられました。

History Photos

バス道路を進む開通当時の高原バス車両。当時は春先の幅員もせまく、カーブで曲がりきれず、人力で除雪して進んでいました。

立山高原バスの車窓

タテヤマスギ

美女平周辺では、タテヤマスギの巨木が点在。

滝見台

途中で姿を見せる称名滝。室堂行きの際は左側座席、美女平行きの際は右側座席に座ると見やすいよ!

弥陀ヶ原~天狗平

標高が高くなると大きな樹木はなく、視界が開けているので、山麓から富山平野まで見渡すことができます。
条件が揃うと、車窓から雲海が見えることも!

トロリーバスに乗れるのは日本でここだけ!

立山トンネルトロリーバス

室堂→大観峰

立山の主峰、雄山(3003m)の直下を貫通している立山トンネルを走る日本唯一のトロリーバス。最大の特徴は、石油燃料ではなく、電車線から電力の供給を受けて走る点です。電気で走ることで、トンネル内に排気ガスが滞留することを防ぎ、自然環境保全にも役だっています。トンネル中央の雄山山頂直下付近で、上下線のバスがすれ違います。

区間(標高)室堂(2,450m)~大観峰(2,316m)
駅間標高差134m
移動距離3.7Km
所要時間10分
運行開始昭和46年4月25日
(平成8年4月23日 トロリーバス)

History Photos

開通当初の車両は、トロリーバスではなく、ディーゼル車でした。

秘密発見!?これなぁに?

バスの後ろ側に取っ手のようなものが!点検時は取っ手を前に倒し、そこに足をかけて屋根に上がって整備をするんだ。

ドアのところに鉄球発見!地面に接触しているこの鉄球は、電気が漏れてしまった時、感電しないように外へ電気を逃がすアース装置になっているんだ。

トロリーバスは、電車の仲間!

トロリーバスは、バスと呼ばれていますが正式名称は「無軌条電車」。電力で走り、しかも一般道を走ることはなく、電車線のあるところしか走らないことから、法律上も電車に分類されています。
この電車線に、屋根の上についているトロリーポールを接触させて電気を受けて走っています。電車のパンタグラフと同じ働きをします。
電車の中でも、運転席は普通のバスに似ています。運転するには、バスと同じ「大型二種免許」と「動力車操縦者運転免許証(無軌条電車運転免許)」が必要になります。

日本最長のワンスパンロープウェイ

立山ロープウェイ

大観峰→黒部平

大観峰と黒部平を結ぶ立山ロープウェイ。景観と環境保全の観点から大観峰と黒部平の間に一本も支柱がなく、動く展望台として360度の大パノラマを楽しむことができます。大きく取られた窓から、西には大斜面の大観峰、東には後立山連峰の絶景が広がります。

区間(標高)大観峰(2,316m)~黒部平(1,828m)
駅間標高差488m
移動距離1.7Km
定員80名
所要時間7分
運行開始昭和45年7月25日

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昭和45年の開業当初の客車。
以後、昭和63年と平成24年の2度の更新があり、現在の客車は3代目です。

ワンスパンロープウェイとは?

中間に支柱が一本もないロープウェイのこと。駅までの距離1.7Kmを、ワイヤーだけで結んでいます。

ロープウェイを支えるワイヤー

ロープウェイを支えるワイヤーの直径は54mmと、ワイヤーの太さも日本最大級!大観峰側にある巨大な原動滑車で一気に巻き上げているんだ。

日本唯一の全線地下式ケーブルカー

黒部ケーブルカー

黒部平→黒部湖

標高差約400m、最大勾配31度の急斜面を走るケーブルカーです。自然保護と雪害防止から、日本で唯一の全線地下式ケーブルカーとなっています。立山ケーブルカーと同じ、つるべ式ケーブルカーで、トンネルの中間地点で2台のケーブルカーがすれ違うようになっています。

区間(標高)黒部平(1,828m)~黒部湖(1,455m)
駅間標高差373m
移動距離0.8Km
所要時間5分
定員130名
運行開始昭和44年7月20日

History Photos

昭和44年、開業時の黒部ケーブルカー。以来一度も車輌を更新せず、開業当初の客車が現在でも使用されています。

車掌室

車掌室

ケーブルカーには動力が組み込まれていないので、運転は黒部平で行っているんだ。車両には運転手は乗車しないけど、代わりに安全監視を行う車掌がいるんだ。

トンネル

トンネル

自然景観の保護と豪雪による被害防止のため、全線トンネルを走っているよ。日本でもここだけにしかない、全線地下式ケーブルカーなんだ。

日本最高所の遊覧船

黒部湖遊覧船ガルベ

黒部湖

立山連峰と後立山連峰に挟まれた黒部大谷の雄大さを気軽に満喫することができる遊覧船です。平均標高1,448mの黒部湖を約30分かけて周遊する黒部湖遊覧船ガルベは、日本最高所で航行している遊覧船です。ガルベという名は、黒部の語源ともなったアイヌから由来します。

航路カンパ谷船着場から針ノ木谷までの往復
移動距離11.5Km
所要時間30分
定員80名
運行期間6/1~11/10

船内

天井の一部もガラス張りになっているので、
船内からの眺めは抜群!

運転席

なかなか見られない船の運転席!運航中は運転手さんの迷惑にならないように静かに見よう。

デッキでも楽しめる!

ゆっくりと楽しむ事ができるシート席と、涼しい風を受けながら楽しめるデッキがあります。デッキは黒部湖の撮影スポットにもなっています。

環境にとってもやさしいのりもの!

関電トンネル電気バス

黒部湖

黒部ダム→扇沢

黒部ダム建設時に、資材搬送用に掘削されたトンネル内を走る電気バス。ディーゼルバスの車体からエンジンを取り外した後、モーター・バッテリーを取り付けて作られたこのバスは、CO2を排出しないクリーンな乗り物です。1往復ごとに約10分間の超急速充電を行うことで運行を可能にしており、電池性能の向上や充電器の高速化など、近年の技術のめざましい進歩によって生まれました。

区間(標高)黒部ダム(1,470m)~扇沢(1,433m)
駅間標高差37m
移動距離6.1Km
所要時間16分
運行開始電気バス:平成31年4月15日
トロリーバス:昭和39年8月1日〜
平成30年11月30日

巨大な車載バッテリーと、最新技術を導入!

大きなバッテリーが搭載された電気バスには、屋根のパンタグラフから電気を取り込み充電を行う「車載パンタグラフ方式」を導入。充電時間は約10分で消費電力も少なく、年間の費用が大幅に抑えられます。

過去には、日本では珍しいトロリーバスが走っていた!

旧車両の300型トロリーバスは三代目

電気バスに変更される前、ここには電車線から電力の供給を受けて走る、日本では珍しいトロリーバスが走っていました。走行にはクリーンな電気エネルギーを利用しているため、長いトンネル内でも排気ガスを心配する必要がなく、急勾配にも強い優れた乗り物です。関電トンネルを通る観光客の皆さまを長年に渡って支え続け、平成30年11月30日にその役目を全うしました。

電気バスの内装

つり革

つり革

電気バス車内には、黒部ダムのマスコットキャラクター「くろにょん」をモチーフにしたつり革が使われています。ネコミミとヘルメットのついたデザインがとってもキュート!

シート

シート

シートカバーには、関西電力(株)のブランドカラーリング「Hermonic Breeze」が採用され、カラーは、「Empowering Orange」、「Lime」、「Turquoize」の3色を使用。車両のデザインは旧車両を彷彿させ、54年間無事故を継続し続けた安全運転への思いを受け継いでいます。