立山に住む、氷河時代の生き残り!

ライチョウ

学名:Lagopus mutus japonicus キジ目ライチョウ科ライチョウ

ライチョウは、昭和30年に国の特別天然記念物に指定されました。室堂平周辺には、約280羽(平成23年調べ)のライチョウが生息しています。高山に生きる鳥で、「立山」は中部山岳の中でも生息数が多いところです。霊山立山では、昔から「神の使い」として大切にされてきました。

ライチョウの1年

繁殖期・縄張り

4月になると、オスどうしのなわばり争いがはじまります。
オスはなわばりを確保するとそれを守るため、眺めのよい木や岩の上でじっと見張りをします。なわばりに迎えられたメスは、6月中旬から7月初めにかけてハイマツのふちなどに作られた巣に5~8個の卵を産みます。

抱卵とヒナの誕生

メスは卵を抱きあたためつづけ、日に2・3度、餌をとるとき以外は巣を離れません。あたためはじめて22~23日後、7月上旬から下旬にヒナは誕生します。 これと同時に、オスはなわばりを守ることをやめます。メスはしばらくの間ヒナと行動をともにし、エサ場に連れて行ってやったり、 体温を保つため時々おなかの下に入れてあたためてやります。

ヒナから幼鳥へ

9月になるとヒナもだいぶ成長し、親鳥に似た羽毛に生えかわります。
この最初の換毛を迎えるとヒナは幼鳥と呼ばれるようになりますが、 しばらくの間、母鳥と一緒の日々がつづきます。10月に入り、雪が降り始めると幼鳥は真っ白な冬毛に身を包み、親鳥のもとから少しずつ巣立っていきます。

越冬・集団生活

氷点下の厳しい寒さと深い雪に襲われる高山帯。雷鳥たちは少しでも快適な暮らしを求めて、ふだん生活している場所から弥陀ヶ原あたりまで移動してきます。そこで、ひたすら食べ、そして休息することに一日の大半を費やします。

ライチョウは、どんなところにいるの?

  • 単独行動しているライチョウ(オス)

    4月になると、ライチョウはなわばり争いをはじめ、雪原のあちこちで「グエッ」という鳴き声が聞こえます。雪の大谷ウォークの時期には、室堂の斜面で滑空するライチョウの姿を見かけることがあります。5~6月は、なわばりを見渡すために見晴らしの良い岩や木の上で1日中見張りをしています。みくりが池周辺の岩などは、絶好のウォッチングポイントです。

  • 親子連れで行動しているライチョウ

    天敵であるトンビや鷹などから逃れるためハイマツの周辺にもぐり込んで身を隠しながら、谷の中の花畑で高山植物の新芽などのエサをとっていることが多くなります。ガスがかかっていると、ハイマツの中から出てきて、活動的に動くライチョウの姿を見ることができます。10月になり初雪が降り始める頃になると、エサ場の周辺に30羽前後の集団となって現れることもあります。

その他の野鳥

アルペンルートには、多くの野鳥が生息しています。
特に美女平のブナ林は野鳥の宝庫として有名で、バードウォッチングを楽しみに、全国から多くの愛好家たちが訪れます。

  • キビタキ

    学名:Ficedula narcissina ヒタキ科

    黒と黄色のコントラストが鮮やかなキビタキ。大きさはスズメぐらいです。 ふだんは葉のよく茂った落葉樹林のなかで生活し、「ポッピリリ」や「オーシツクツク」などと鳴きます。

  • アカハラ

    学名:Turdus chrysolaus ツグミ科

    23cmほどの野鳥です。その名の通り、胸から腹にかけて、赤みがかったオレンジ色をしています。オスは頭の黒色が強く、メスはノドに白い斑点があるのが特徴です。

  • アカゲラ

    学名:Dendrocopos major キツツキ科

    美女平原生林で多く見られ、くちばしで木の皮や隙間をつつき昆虫などを食べています。繁殖期になると枯れた木を連続的につつく「ドラミング」を行います。

  • カヤググリ

    学名:Prunella rubida イワヒバリ科

    亜高山帯から高山帯にかけ、ナナカマドやハイマツなどの林の中で単独もしくは数羽でひっそりと生活しています。繁殖期には「チリチリチリ」や「チーチーリリリ」とさえずります。

  • オオルリ

    学名:Cyanoptila cyanomelana 
    ヒタキ科

    オスは、頭と背中がコバルト色で、メスはオリーブ褐色をしています。鳴き声は、高く澄んで美しく、多くの人々を魅了します。

  • イワヒバリ

    学名:Prunella collaris イワヒバリ科

    茶色の体、灰色の頭が特徴です。人間に対する警戒心が薄く、室堂ターミナル周辺のトレッキングコースでも、草地でエサをついばむ姿がよく見かけることができます。

  • ホシガラス

    学名:Nucifraga caryocatactes 
    カラス科

    体に白い斑点を持ち、鳴き声は「ガーッ、ガーッ」とカラスによく似ています。針葉樹林帯に生息し、オオシラビソやハイマツの種子などを食べます。